舌の根も乾かぬうちに・・・言葉弄り

上のエントリで書いたように結論をつける気は無いけれど、こちらの思惑とはとは違うように捉えられているように感じたので、そこのところだけ追記。


http://d.hatena.ne.jp/akisue2/20060722#1153588401

呼び方はそれほど重要ではないと前置きしてから言いますと、私が言う「入門書」とはジャンルの専門性のレベルを示す用語であり、古い作品である必然性はないのです。なので個人的には「古典」という言い方はあんまりしっくりこないですね。まあ呼び方は個人の好みですけれど。

僕のいう古典とは、別に古い書物ということでは無く、長らく命脈を保ってきた作品や、これから受け継がれていくだろう作品のことを指します。単に名作と呼んでもいいんですけど、時代を超える普遍性みたいなものを込めたかったので。
古典たる作品は、生まれたその時から古典たる資質を持っていたから、いつの時代でも古典とされるのです。言葉弄り。
おっしゃるとおり呼び方は重要ではないのですが、主旨に微妙にかかわる部分なので指摘しておきます。


その2。

ライトノベルは「形式」なのではないかというお話なのですが、賛成しかねる点がいくつかあります。具体的には


ライトノベルは小説の一形態である

②形式面だけではライトノベルの一面をとらえただけに過ぎない


の2点です。

①について。
そりゃそうでしょう、「ライトノベル」なんですから。
とはいえ、単に小説に求められる要件以上のものがライトノベルには求められていることは事実です。例えば挿絵無し、8pt活字二段組で全320ページ、ハードカバー仕様というライトノベルはありうるのか。表紙絵や挿絵を含めてライトノベルであるという意見もあるようですが、一般小説に対してそのようなことを言う人はまずいません。これはもう「ライトノベル形式」と言っちゃってもいいじゃない?という個人的な見解です。
それに、自分から振っておいてなんですが、形式で分類することに大した意味は無いでしょう。少なくとも鑑賞する側に於いては。シェイクスピアの作品やゲーテの“ファウスト”は戯曲ですが、実際読むときには古典を読んでいるという意識しかないはずです。小説と戯曲はぜんぜん異なるものですが、そのこと自体に意味は無いですから。
②について。
形式面で分類しようとしているのに、内容まで考慮せよというのは筋違いでしょう。なにせライトノベルの特性はそのマニフォルド(最近覚えました)なところにあるらしいので、内容には踏み込まずに考察してみたのですから。しかし、内容まで考慮すべきという意見は意見として承っておきます。

ライトノベルを形式として理解するならば、小説の一形態として、


「単行本」「文庫」「新書」「ライトノベル」...


と考える方が納得がいきます。ただし、新書に人によってはライトノベルに分類する小説がある以上、この分類ではライトノベルを一面的な把握したに過ぎないことを念頭に置く必要があるでしょう。例えばお堅い小説がライトノベルレーベルから出版された場合、それはライトノベルといえるだろうか、という問題があります。これはノーでしょう。

雑誌連載されたライトノベルもあるのでは・・・というツッコミはこの際置いておきますが、出版の形態と表現の形態は別の話です。しかし、書店に行けばライトノベルでワンコーナーが作られているわけで、そのような分類も的外れではないでしょう。
また、「お堅い小説」というのがどのようなものかわかりませんが、

  1. 主に少年少女を対象とし
  2. 比較的平易な文体で書かれ
  3. 今風の表紙絵と挿絵があり
  4. 手ごろな分量の文庫あるいは新書

であればライトノベルとみなされるような気がします。少なくとも、僕にとっての「ライトノベル」とはそのようなものです。あ、これはあなたがそうだと思うライトノベルの定義は? - WINDBIRDへの返答にもなりますね。


http://d.hatena.ne.jp/REV/20060723#p1

 そのへんの言葉の使い方の点で齟齬があるように見受けられました。法律や学会で決まった言葉ではないので、ある程度説明してから使うと、そういうところでの誤解が避けられたのではないかとおもっています。

結論を出さねばならない議論なら用語の統一は事前になさねばならぬことですが、今回は「俺はこう思うが、君はどう?」という雑談的なものだと思うので、その都度すり合わせればいいでしょう。それに、実は噛合っていないのに噛合っているつもりで話が進むよりは、ずいぶんとマシですしね。


ちょっと長くなってしまいました。
ところで、上のエントリの最後に書いた「ライトノベルが主食で偏食のオタク」さんについては何か情報ないですかね?